僕はその笑顔に吸い込まれそうに……


いやいや駄目だ、正気になるんだ!



「五郎に言いたいことがある」

ぱっと皐さんがこちらを向いた。

ひぇッ!!危ない。

何故か皐さんの首筋に伸ばしかけた手に驚きながらも、必死にそれを隠す。


「な、なに?」

触ろうとしたことがバレた!?

僕はいつ怒鳴られるかビクビクしていたが、皐さんの言った言葉は意外なものだった。


「来年の今日にタイムスリップして言うから、ここに来なさいよ?」



「え、タイムスリップ……?」


「来年の私なんて保証できない」

「それってどういう」

「人間何があるか分からないもの。今の私が五郎に言いに行けば確実よ」


そんなの今ここで言えば良いじゃないかと思ったけど、皐さんがあまりに真剣に話すので、何も言えなくなった。


それに、反論なんてしたら僕の身がどうなるか分からない。