君のくれた人生








「ねぇ、ムラ
何を荷物に詰めているの??」



帰ってからずっと気になっていた事だった



ムラは大きなカバンに色々なものを詰めていた



まるで旅行に行くみたいに



愛子は嫌な予感がして聞けなかったが
我慢の限界で聞いてみた



「うん、ちゃんと話さないとね
最後までよく聞いてね?」



そう言われて大きく頷く愛子の姿を微笑みながら見てから



「実は、俺
昔は医者だったんだ…
まぁ、いろいろあって今の会社に勤めてるけど…

それで今回、昔の同僚に人手が足りないと言われてね?
少し遠くに行くんだけど
手術が終わったらすぐに帰ってくるから…

人を助けに行きたい
ダメ………かな???」



そう聞かれて愛子は笑顔を作り



「べ、別に……
いいよ!

1人でも大丈夫だよ!
ご飯もムラの手伝ってたから作れるし…
沢山、助けてきてね??」



そう言われてムラはこの笑顔は人を遠ざける時の笑顔だとわかった