「いと、大丈夫??
もう少し歩いたら学校やからな
辛抱してな?」



と、6年生の子が言った



田舎のため、バスに乗りかなり歩いて学校まで行く



愛子は笑いながら



「大丈夫。」



とだけ言って必死に歩いた



毎日毎日、沢山歩いて
毎日毎日、沢山我慢して
毎日毎日、沢山勉強して
毎日毎日、沢山食べて、寝て…



笑う………
愛子はいつの間にか、廊下を走らなくなっていた



怒られなくもなっていた



遊ばなくもなっていた



まだ、小学1年生の子が、毎日笑顔で毎日苦痛に耐えている



その理由はきっと、



…………心に空いた少しの穴を誰にも見せないための小細工…………



弱い少女は恋をしていた



恋をしていたことには少女自身気づいてはいなかった