カチリ
その音で少女は目覚めた。

少女の視界は暗闇で染まっており何も見えない。
少女はゆっくりと身体をおこした。
段々と目が慣れてきたのかうっすらとだが目の前が見えるようになった。
掌から伝わってくるザラザラとしたカーペットの感触から室内だということがわかった。
だとしたらここはどこだろう?というふうに少女は首を傾げる。


――ガタン

どこからか物音がした。

「・・・っ?」

それでやっと少女は気が付いた。
この室内に充満する鉄の匂いに・・・。
少女は身体を震わせる。
少女は悟ったのだ。
自分の身に何かおきている、何かとても恐ろしいことが・・・。

少女はこみ上げてくる吐き気に耐えながら身体を動かした。

音のする方へと足を進める。

そちらに行ってはならないとわかっていながらも、好奇心に打ち勝てず少女は行く。
足を動かすたびに強くなっていく血の匂い。


壁に手をつきながら必死にその匂いの元凶を探した。


「・・・っ!?」

そして少女は見てしまった。

大量の血を流し横たわる女性を。

その隣にしゃがみこんで女性を見つめている長髪の男性を。

少女の足はガクガクと震え、
ついに立っていられなくなりその場にしゃがみこんだ。

ガン

勢いよくしゃがんだせいか大きな音をたててしまった。


「ァ・・・イ、ヤ・・・ッ。」

その長髪の男性がこちらを振り向き、少女を見つめる。少女が発した声は恐怖で震えていた。

殺されることを少女は覚悟した。


「・・・ルーシー・・・?」

だがそんな少女とは裏腹に男性はあまりにも情けない声を零した。

「・・・え?」