紫陽花の涙

大人しく、家路につく。

明日なら居るのかな。
明日がだめでも、その次なら。

そんなことしか考えられなかった。

ただ、会いたい。

そして、関わりたい。知りたい。


仕事の日は夕方まで寝ることにしてるけど、
明日もお昼には起きて公園に行こう。


久しぶりに日記を開いて
そんななんでもないことを書き記した。

もうずいぶん書いてなかった。

書くことがなかった。

最後の日付は半年以上前のものだった。

感情の波が
静かに揺れるのを感じながら
少し微笑んでいた。

いつも感情に変化があると
あたしの手は震えだす。

でも、今は違う。
手の震えも、
心臓が大きく鳴り出すこともなく、
穏やかで幸せな気持ちだった。


これが恋か。

少し反省もした。


あたしは、周りの恋の話を
心の中で馬鹿にしていたから。

正直、理解が出来なかったし、
すぐに変わると決めつけていた。
実際そうだったし。
あんなに嬉しそうに話して、
あんなに泣きじゃくって、
あんなに怒り狂っても、
恋の終りはあっけない。

紫陽花の色が変わるように
人の心は変わる。

そんなもののために
どうして心を動かされるのか。

不思議で仕方なかった。

今あたしが体験してるものがそれならば、
今なら少し理解できる。