そして3年後、娘が16歳になる日に最後の儀式が行われる。

最後の儀式、それは鏡台の前で母親が娘の髪を食べるというものだった。

食べるというよりも、体内に取り込むという事が重要だったそうだ。

丸坊主になってしまうぐらいのほぼ全ての髪を切り、鏡台を見つめながら無我夢中で口に入れ飲み込んでいく。

娘はただ茫然と眺めるだけ。

やがて娘の髪を食べ終えると、母親は娘の本当の名を口にする。

娘が自分の本当の名を耳にするのはこの時が最初で最後だった。