cutie honey

「…東さんの事は」

そこまで言って、言葉に詰まってしまった。

『…覚えてるよ』

先ほどの言葉が思い出された。東さんを好きな気持ちは全くない。

でも、憧れの人だった事が引っかかる。

「…答えて」
「…東さんの事は…好きとか、嫌いとかじゃなくて…気になる存在」

に、なってしまった。

でも、やっぱり好きな人は今も変わらない。

「…わかった。…突然来て悪かったな。それじゃ」

そう言いながら、三枝課長は私の手を放してしまった。

そして、早足でその場を去ってしまった。

…その顔があまりに傷ついたような顔で、何も言えなくなってしまった。

その顔の意味は?

最近、何だか、どんどん三枝課長との間に距離ができてしまったような気がする。


それは、なぜなのか?

もっともっと、三枝課長と一緒にいたいのに。


「…三枝課長、私は貴方の事が好きなんです」


その言葉は、三枝課長に届く事はなかった。