…あれ?…打たれ、ない?

私は恐る恐る目を開け、見上げると、目の前には知らない男子。私は一年生。同じ一年にこんな男子はいない。

とすれば、2年か、3年。

『この子をいじめるなら、まずは、俺を倒してからにしてくれる?』

私は耳を疑った。

全く知らない男子が、私を助けてくれてる。思いがけないことに、ずっとその背中を見つめていた。

「…先輩…」

リーダーの子が明らかに顔色が変わる。周りの子達も顔を見合わせている。

「…次、この子イジメてたらただじゃおかないからな」

その言葉に、血相変えて彼女達は逃げて行ってしまった。

放心状態の私に振り返った男子。

…啓太なんて、目じゃない程のイケメンな男子。

「…あんた、イジメられんの好きだな」
「…なっ」

口をパクパクする私をクスクスと笑った男子はそのまま行ってしまった。