「委員会の事で聞きたいことがある。ちょっと来て。」
家庭科の授業が終わり、クラスメイトとしゃべっていた私に、そう話しかけたのは同じ代表委員会の秋宮 恋(あきみや れん)だ。

彼は、私の幼稚園からの幼なじみ。男子だ。しかし、一見女の子と見間違えられそうなほど可愛らしい容姿や、「恋」という名前のせいもあってか、なにかといえばからかわれていた。昔、そんな恋をみかねて、1度かばったのを境に話すようになり、中学校を卒業するころには一緒にでかける程の仲にまでなっていた。
しかし、高校に入ると恋は変わった。引っ込み思案で自分から話しかけることが苦手で、友達は私だけでいいといっていた時期もあった恋が、現在は男子女子問わず友達がたくさんいる。しかも、恋から話しかけてきたそうだ。幼なじみの突然の変化に、嬉しさと寂しさを感じ、どこか話しかけづらくなっていて…。同じ委員会だったが、以前よりも話すことが少なくなっていた。
そんな中…久しぶりに聞いた幼なじみの声は、少し懐かしくとても嬉しかった。
「? なあに?」
「いいから、来て」そういうと、恋は力強く私の手をひいた。
「えっ??ちょっ、と、待って!」恋の細い腕のどこにこんな力があったのか…私は何も分からないまま教室の外へ連れだされた。