私は高校生になった。
新しい制服、大人びた感じでちょっと嬉しかった。
「えーと、私は1年4組か~」
すると、私と同じようにクラスを見ていた男の子が
「ふーん、俺1年4組か」と。
周りはたくさんの新入生で騒がしいのに、この言葉だけは、はっきり聞こえた。
私は知らず知らずに彼を見つめていた。
そしたら急に
「あんた、なんで俺のこと見てんだよ」
私のことをけなすような目で彼は言ってきた。
「あっ、えっ、えと…す、す、す、すみませんでした~」
私はそう言って、その場から走って逃げた。
「はあ、はあ、何なんだ、あの男子は。別にあんなこと言わなくっても」
「…栄一くんとは大違いだ」
私が中学生のときは、女子校に通っていたから、男子との接点はあまり無かったのだ。
高校では、自分が行きたい大学の合格者が出ているところにしようと、思って選んだのが、ここなのである。
「…栄一くん、今はどこにいるのかな~」
今までは、思い出すのさえ嫌がってたが、高校生になったんだから良いやと思い、少し明るい声でこの言葉を言った。