「久しぶり」
少し茶色でサラサラの髪も、大きな目も、ここらの田舎では珍しかった白くてきれいな肌も、優しい微笑みもなにも変わっていない。
「元気してた?」
変わったといえば身長が伸びたことくらいで、声も昔のままだった。
「…聞いてる?」
首をかしげる角度も変わっていない。
昔のままで成長した彼女は、なんだか昔よりも綺麗になった気がするのは気のせいだろうか。
「…聞いてる、元気だった」
やっとそれだけを言えた。彼女は微笑んで、
「変わってないね」
とつぶやいた。
「身長伸びたな」
「そりゃ縮まないから」
くすくすと笑いながら答えた幸菜を見て、綺麗になったと思ったのは気のせいじゃないと思った。
「彰人も…身長伸びたし、なんか…かっこよくなったね」
「あっそ」
そっけなく答えて、少し間をおいて呟いた。
「お前も、綺麗になったな」
らしくなさすぎるセリフに顔が熱くなった気がした。
「本当?彰人にそう言ってもらえるのが一番嬉しい」
少し顔を赤らめてそういった幸菜は、やはり変わってないと思った。
「急にどうしたんだ?」
「ちょっと里帰りみたいな」
「おばさんたちは?」
「…置いてきちゃったんだ」
いたずらっぽく笑った彼女に少し呆れた。思い立ったらいきなり行動という少しおっとりしている見た目に反した性格も相変わらずだ。
「ちゃんと言ったのか?」
「もちろん」
「ならいいけど…いつまでいられるんだ?」
「しばらく」
「どっか泊まるのか?」
「アテはあるから心配しないで」
ニコッと微笑んだ彼女を見て、嫌な予感がした。
「彰人んちに泊めてくれる?」
予想通りだ。
「…母さんがいいっつったらな」
「やったぁ、ありがとう」
「お前ほっといたら野宿するだろ」
「大当たり!断られたら野宿しようとしてたの」
「お前もう16だろ?年頃の女子が野宿とか危ねぇだろ、そういう考えやめろよ」
「はは、彰人ったらお母さんみたい。自分だって16のくせに」
変わっていない。本当に昔のままで。
「学校行くんじゃないの?」
「うわ、ほんとだ忘れてた」
高校に入学してからずっと無遅刻無欠席だったというのに、夏休み1日前に学校に行くのを忘れかけるとは。
「連れてってよー」
「金はあるのか?」
「もちろん」
「しょうがねぇなぁ…乗れ」
「がってん承知!」
幸菜は昔と同じ掛け声とともに自転車に飛び乗った。
「行くぞ」
背中に当たるひんやりとした幸菜の体を心地よく思いながら、いつもより少し重いペダルを踏み込んだ。
少し茶色でサラサラの髪も、大きな目も、ここらの田舎では珍しかった白くてきれいな肌も、優しい微笑みもなにも変わっていない。
「元気してた?」
変わったといえば身長が伸びたことくらいで、声も昔のままだった。
「…聞いてる?」
首をかしげる角度も変わっていない。
昔のままで成長した彼女は、なんだか昔よりも綺麗になった気がするのは気のせいだろうか。
「…聞いてる、元気だった」
やっとそれだけを言えた。彼女は微笑んで、
「変わってないね」
とつぶやいた。
「身長伸びたな」
「そりゃ縮まないから」
くすくすと笑いながら答えた幸菜を見て、綺麗になったと思ったのは気のせいじゃないと思った。
「彰人も…身長伸びたし、なんか…かっこよくなったね」
「あっそ」
そっけなく答えて、少し間をおいて呟いた。
「お前も、綺麗になったな」
らしくなさすぎるセリフに顔が熱くなった気がした。
「本当?彰人にそう言ってもらえるのが一番嬉しい」
少し顔を赤らめてそういった幸菜は、やはり変わってないと思った。
「急にどうしたんだ?」
「ちょっと里帰りみたいな」
「おばさんたちは?」
「…置いてきちゃったんだ」
いたずらっぽく笑った彼女に少し呆れた。思い立ったらいきなり行動という少しおっとりしている見た目に反した性格も相変わらずだ。
「ちゃんと言ったのか?」
「もちろん」
「ならいいけど…いつまでいられるんだ?」
「しばらく」
「どっか泊まるのか?」
「アテはあるから心配しないで」
ニコッと微笑んだ彼女を見て、嫌な予感がした。
「彰人んちに泊めてくれる?」
予想通りだ。
「…母さんがいいっつったらな」
「やったぁ、ありがとう」
「お前ほっといたら野宿するだろ」
「大当たり!断られたら野宿しようとしてたの」
「お前もう16だろ?年頃の女子が野宿とか危ねぇだろ、そういう考えやめろよ」
「はは、彰人ったらお母さんみたい。自分だって16のくせに」
変わっていない。本当に昔のままで。
「学校行くんじゃないの?」
「うわ、ほんとだ忘れてた」
高校に入学してからずっと無遅刻無欠席だったというのに、夏休み1日前に学校に行くのを忘れかけるとは。
「連れてってよー」
「金はあるのか?」
「もちろん」
「しょうがねぇなぁ…乗れ」
「がってん承知!」
幸菜は昔と同じ掛け声とともに自転車に飛び乗った。
「行くぞ」
背中に当たるひんやりとした幸菜の体を心地よく思いながら、いつもより少し重いペダルを踏み込んだ。