「…モテるんだね…」

幸菜は彼女たちの熱気に当てられたのか、まだ少し呆然としていた。顔がいつもより白く、少しこわばった笑顔だと思ったが、なにも言わないでおくことにした。

「あぁ…ごめんな」

「彰人が謝る要素あった?」

「だってうちのクラスの女子が」

「彰人が謝ることじゃないじゃない」

「まぁ…そうだな」

幸菜は自分の手をじっと見つめていた。何かあるのだろうかと覗き込んでも何もなかった。

「ねぇ彰人」

「ん?」

「……なんでもない」

「そうか」

何か大切なことを言おうとしていたのだろうかと思ったが、聞けなかった。


俺は幸菜が何かを隠しているような気がして仕方がなかった。