あの日まで、いつかまた再び会えるであろう彼女が今どこでなにをしているかと考えていた。

彼女も俺のことを少しでも考えてくれているかと思いながら。

再び会えたとき、彼女は変わっているのだろうか。前と変わらぬ優しい声で「彰人」と呼んでくれるだろうかー





「あきと」

「なに?」

「ゆきな、おひっこしするの」

「どこに?」

「トウキョウだって」

「遠いなぁ」

「トウキョウってどこにあるの?」

「この国のシュトってやつだったよな?」

「なにそれ?」

「この国の中心ってこと」

「ものしりだねー!」

「で…いつひっこすの?」

「いっしゅうかんごだって」

「そっか…」





「どうしたの?」

「これ」

「わぁ!よつば!これどうしたの?」

「やるよ」

「ほんとに?いっしょう大切にするね!」

「あぁ…また会えるよな?」

「会いにいくもん」

「大きくなったら、迎えに行ってやる」

「うん…まってる」





唇に触れた優しい感触は、約束の印だった。