放課後。時刻は4時23分。


だんだんと夏が近づいて暑くなってきたが、それとはまた別の熱気が美術室に広がっていた。


クーラーをつけて、窓を全て閉めて外の音を遮断しているにも関わらず教室が賑やかなのは、今日は美術部員みんなが揃っているから。


4時半に顧問の先生がみんなに話があると、今日だけは強制参加となった。


久々に見る先輩もいれば、いつものように頑張ってるな、と尊敬する先輩もいる。


私の隣に座っている美波くんは、もう私の中で当たり前となっていた。


先生が来るまでは、手元のスケッチブックを眺める。


この部活に入ってから3ヶ月くらい経ったそれは表紙が少し汚れているが輝いて見えた。


美波くんみたいに1日1枚書き上げるようなスピードは出せないから、私は毎日少しずつ描いた。


好きなアニメの模写だったり、想像の人物だったり、美術室に置いてあるものを手当り次第に描いてたりもしている。


でも多分、しばらくはそれもお休み。


美波くんから大会があると聞かされていた私は、先生が今日話す内容が容易に予想できた。