しかしその後やってきたのは、落ちた音と痛みではなく、美波くんの「セーフッ」という無邪気な声だった。


目を開けると、美波くんが私を覆うように座っていて、こっちを笑顔で見ていた。


美波くんの上がった手とすぐそこにあるキャンバスは、美波くんが私をかばってくれたことを示していた。


とりあえず絵が描かれた面が上になっているから傷はついてない…と思う。



「大丈夫?」



すぐ近くで聞こえたその声の方に顔を向けると、予想以上の近さだった。



「だ、だ、だ、大丈夫…っ!ありがとね!」



テンパった私は美波くんから少し離れて立ち上がる。


それに合わせて、美波くんも立ち上がった。