「あっそ。志乃そんな絵描くの好きだっけ?」
「うんっ!最近すっごく楽しいよ」
自分でもこの心境の変化はすごいと思う。
部活に入った時は、嫌いじゃないって程度だったのだが、今は大好きになっている。
美術部を選んで本当によかった。
そう思えるのも、美波くんの影響…なんだと思う。
「へー、よかったじゃん。じゃ、俺部活行ってくるわ」
悠貴が机の横にかけてあった大きなスポーツバッグを持って立ち上がった。
何をそんなに入れてんのか、ってほどパンパンに膨らんだそれは、とても重そうだった。
「いってらっしゃーい」
そう言うと悠貴は手をヒラヒラと振りながら教室を出ていった。
まだ他に何人かいるのに、悠貴がいなくなっただけで急に静かになったような感じがする教室。
私も近くにいる子に「バイバイ」と言って美術室に向かった。