「真奈ちゃん、オレ、全然わかってなかったかも。ごめん」

「もう、いちいち謝らないでよ。三上くんだって、知らなかったんでしょ。私なんてちょっと世話好きなだけで全然優しくないし、どうせ思ったのと違うってすぐに言われちゃうし、ただの酒豪だし、かわいくないし」

止まらなくなって、よく言われちゃうことを先にぶちまけた。一回気に入ってもらえても、やっぱり違うって思われちゃうんだから。

でも腕をつかんだまま、三上くんが目を合わせて言う。

「かわいいよ。真奈ちゃんは、かわいくて優しい。今日もオレ、すごい嬉しかった、真奈ちゃんがおかえりって言ってくれて。帰ってきたとき真奈ちゃんがいてくれたら、嬉しすぎてやばいかもって思った」

気づいたらぎゅっと抱きしめられていた。ちょっと強すぎるぐらいの力で。

「男の部屋に、こんなに無防備に入ったらだめだよ」

急に今までと違うかすれたような声で言いながら、でもそれ以上何かするわけじゃなくて、ずっとぎゅっとされていた。

途中で緊張していた身体の力が抜けたら、三上くんも腕の力を緩めてくれた。




「上野さんと、っていうか誰かほかの奴と、二人で会わないでって言ってもいい?」

「うん」

「週末、また誘ってもいい?」

「うん」

抱きしめていた腕をほどいて、顔を見てまた言われる。




「オレと付き合って?」

「……はい」

そんなかわいい顔で言われて、ノーって言える人なんていないと思う。

「やばい、すっごいドキドキしてる」

もう一度ぎゅっとしながら、三上くんが言う。こっちのセリフだよ。男の子の部屋でこんな風にされるの、経験値低いんだから!