私のミスからのトラブルが収まり、何事もなかったかのように落ち着きを取り戻して9月後半が過ぎていく。

連休も終わって、そろそろ下半期に入るなと思ったころに、田代部長と半田チームリーダーから会議室に呼ばれた。



来た、所属の変更の話だ。



「香さん、呼ばれました」

隣の香さんにコソコソと報告する。

「行っておいで。言いたいこととか聞きたいこと、我慢しないで言ってくるんだよ、いい機会だからね」

半年間、隣で一緒に仕事をした香さんはにっこりと送り出してくれた。



私は入社以来、3つのシステム開発プロジェクトを転々とし、その後開発管理を主にやっている香さんのサポートに入っていた。半年やってまた配置換えを考えると言われている。

開発に配属された他の同期はみんな1つのプロジェクトで2年目を迎え、着々と技術や経験を増やしてるように見えるので、正直私は焦っている。

管理の仕事じゃ技術も身につかないし、本流のシステム開発をやりたかった。前にいた武田さんのプロジェクトに戻してもらえないか、次の面談があったら頼むつもりでいた。こないだまでは。

でも、今は違うことを考えてる。


「植木、とりあえず希望聞いとこう。今までやったチームで続けたいところある?

前に武田のチームいたよね。あそこでも人が足りなくなるし、香ちゃんのサポートも必要だし、まあ他にも植木の受け入れ先はありそうだけど」

「あの、もしできれば、今のまま香さんの下でやりたいです」

香さんにも言ってないんだけど、まだやりたいことがある。