「怜(れお)おっ、おはよっ!」

勇気を出して前を歩く眠そうな君に声をかける。

「偶然だね」なんて。

笑って言ってみるけど。

(怜がこの時間帯この道通るって知ってるから合わせたんだよ

並んで隣、歩きたくて。)

ー…気づけばか。

卒業まで残り1ヶ月。

別にいいよね、このまま告白しないでも。

もし振られて気まずくなるくらいなら、気持ち伝えないで友達としてめいっぱい残りの時間思い出たくさん作った方がきっと楽しい。

…ほんとに?

「わっ!」

そんなことを考えていると、がくっと足元の段差につまずき前に勢いよくつんのめる。

「あぶねっ」

転ぶ!

そう覚悟した瞬間、ぐいっと力強く後ろへ引かれ恐る恐る目を開くと、私は怜に支えられるようにして腕の中にいた。

「っ!?!?/////」

あぁ、きっと私の顔は今自分でもわかるぐらい赤いんだろうな。

「おっ…まえなぁ。ぼーっとしてんなよ。心臓止まるかと思ったわ」

呆れた顔でため息をつく怜。