ーーー松岡さん。


佐久良くんが姿を見せて、私に手を伸ばす。

優しい笑顔を浮かべている。

大好きな笑顔で私を見ている。



ーーー松岡さん、いっしょに……。



そう言って差し出された手。

さっきまで私がとろうとしていたその手。

その手を握れば、ずっと佐久良くんと一緒にいられる。


「……佐久良くん」


佐久良くんと一緒にいたい。

一緒のところに行きたい。

あなたがいない世界なんて考えられない。

佐久良くん。佐久良くん。

佐久良くんが、好き。

誰よりも大好き。


だから………


「……私………」


だけど………


「………私………ごめんなさい」


だけど、佐久良くん。

ごめんなさい。


「……佐久良くん、好き。大好き。

だけど、でも、………ごめんなさい。

わたし………わたし、行けない。

あなたと一緒に………行けない」


あなたを愛してる。

でも、一緒の世界にはまだ行けない。