傍にいてギュッとして

「じゃ、オレもそろそろ帰るわ」

え?ま、待ってよ!置いてかないでよ!あんたのせいで立てないのに…


私は、彼の裾を掴んだ。

「なに?命乞い?ムダムダぁ。殺さないからさっ」
「…がう」
「ん?」
「ちがう…!」

「あのさぁ…言ったでしょ?こっちはNのために動いてんの。今日のあんたはもうムダって分かったから…離して。」

私の力のない手は、たやすく振り払われてしまった。

「あの…!」

彼はどんどん進んでいく。

「な、名前…!」

なぜか、私はそう叫んだ。なぜか、知りたいと、唐突に思ってしまった。