「あ…やっぱり帆波だ。帆波でしょ?」

男の人は、嬉しそうに私に近寄った。

「あ、あの…!誰、ですか?」

私は一歩後退った。

「覚えてない?」
「…はい。」
「お兄ちゃん、悲しいなぁ…」
「え?おにい、ちゃん?」
「そうだよ。僕の名前、秋風って言うんだ。」
「ど、どうしてお兄ちゃんが…?」

だって…お兄ちゃんは、死んだはず。今まで、ずっとそうだって思っていたのに…

「今までごめんな。」
「どうして…だって、死んで、」
「それが、死んでなかった。」
「そ、それに!お葬式…」
「だから、あれはカラだった。」
「でも、確かにねむってるお兄ちゃんがいて…」

もう。なにがどういうこと?わけ、わかんなくなりそう…

「今までひとりにして、ごめんな。」