部室の扉をしめた。それから、ドアにもたれかかった。

「はぁ…」

翔貴先輩…良かったの、塩酸ですか。私的には濃硫酸なんだけどなぁ。

「先輩…?」
「え?」
「お疲れですか?」

そう言って彼は、私の額にペットボトルを当てた。ひんやりして、結露した水が私の頬を伝った。
それが気持ちよくて、私は目を閉じた。

「ね、寝ちゃダメですよ!」

少し大きな声。ペットボトルが逃げていく…ちょっとだけ、目が覚めた。
まばたきを数回繰り返して、ピントを合わせた。彼の表情がやっと見えた。

「あ、吉川…」