ガラッ

部室の扉を開けた。紙や薬品の匂いが鼻をついた。
ここは、私の居場所。化学部の部室。そこには、もう白衣に着替えた先輩の姿があった。

「あ、帆波ちゃん!」

先輩はすぐに私に気付いた。

「帆波ちゃん、レポート読んだよ。面白かった!」
「え?先輩、もう読んだんですか!?」
「うん。」

先輩は平然と言った。
…ちょっと、うれしい。

「特に、あの塩酸のくだり良かったよ!」

先輩のテンションが高い…

「ありがとうございます。」
「うん。僕もがんばらないとね…」
「あ、あの…ちょっと忘れ物思い出しました!」

うれしくなっちゃって、恥ずかしくなっちゃって、部室をでてしまった……