ゆっくりと耳から携帯を離し、静かに閉じた。 「それだけで充分?」 吐き捨てるように言った言葉。 「…本気でそう思っているなら、よっぽどのバカだ」 薄暗くガランとした部屋には、冷蔵庫の機械音しか聞こえない。 私以外、誰もいない。