「櫻井さんのことは、今から職員会議で話し合います。学校に残れる方向で、私の方からもー…」
柳先生が先生を辞めたのに、私はここに残るの?
私のせいで、辞めたのに…
私がいるからー…
「櫻井さん!」
「!」
大きな声で名前を呼ばれ、意識が現実に戻った。
「…そんな顔をしていたら、柳先生が心配しますよ」
「え…?」
校長先生にそう言われ、窓に写る自分の顔を見た。
今にも泣き出しそうな顔ー…
「柳先生はこういう結果になっても、櫻井さんを守りたかったんです。だから、その想いを櫻井さんは受け取ってください」
こういう結果になっても?
守りたかった?
「…私だって…」
膝の上で握る拳に、涙がポタポタと落ちる。
「柳先生を守りたかった…私のせいで、柳先生が教師を辞めることになってしまうのは嫌だった」
溢れ出る涙が止まらない。
「守ってもらってばかりじゃダメなのに!!私は、何もできなかった!!」
悔しくて、悔しくて…
こんな思いは、初めてだ。
こうなったのも、全部あの親たちのせいー…
さっきよりも力強く、拳を握った。



