けど、私はー…
「…櫻井さんは、どうしたいですか?」
「!」
「私はあなたが入学した時から、あなたの家庭の事情を気にかけていました。柳先生と一緒に暮らすことになった経緯も、柳先生からも保護者の方からも報告を受けています」
保護者の方ってー…あの親からも?
「生徒と教師が一緒に暮らすなど本来はあってはならないことです。しかし保護者の方からも了承も得ていますし、柳先生もそれなりの覚悟がおありなようなので許可しました」
それなりの覚悟ー…
数メートル離れている柳先生を見ると、真剣な表情で校長先生の話を聞いている。
柳先生は本当に、懲戒免職になってもいいと思っているー…?
「しかし、私はひとつ忘れていました。この問題の当事者である櫻井さん、あなたが本当はどうしたいのか…」
ドクン。
「柳先生から報告を受けるばかりで直接、櫻井さんからの話を聞いてませんでした。だから、今日はそのために呼んだんです」
ドクン。
校長先生と目があったまま、逸らせない。
「ここまで話を聞いて、櫻井さん、あなたは今後どうしたいですか?」
ドクン。ドクン。
私はー…



