愛されたい、だけなのに







「おい!人の女をどこに連れて行く気?」

「!!」


目の前に立ち塞がったのはー…



「なんだ、お前」

「人の女って、この女?」


「…」



「決まってんだろ?さっさと、手を離しな」



榊原だった。


「離さないと、大声で人呼ぶぞ?未成年に手を出そうとしてるオッサンがいるって」


「ちっ」

「まだ、オッサンじゃねぇーよ!」


そう言いながら、男たちは行ってしまった。



…助かった。



「大丈夫か?」

「うん…ありがとう」

恐怖からか、手が震えている。


「大丈夫じゃないじゃん」

その手を、そっと榊原の手が包んだ。


「!」

「落ち着いたら、部屋戻るか」

「…ありがとう」



榊原って、優しいんだね。


少ししか付き合ってなかったけど、本当に私は榊原のことを何も知らなかった。