「榊原は、好きな人とはどうなったの?」
ファミレスに入り、料理を待っている間に思い出したことを聞いてみた。
「は?」
真向いに座っている榊原は、わけがわからないとばかりに首を傾げている。
「別れるときに、¨好きな人ができた¨って言ってた」
「え…あー…」
榊原の目が泳いでいる。
「あれは…」
「?」
「…嘘だよ」
え…嘘?
なんで?
「別れるには、理由が欲しいだろ?」
「あぁ…そっか」
「そっかって…他人事みたいだな。櫻井と俺の話だぞ?」
「うん」
「…はぁー…少しは変わったのかなって思ったけど、俺の思い違いか?」
「?」
変わったって、何が?
「告白したのは、俺からってことは覚えている?」
「うん」
「櫻井からOKもらって両想いかと思ったら、デートしてても上の空。話をしてても、¨あぁ、うん¨しか言わない。電話もメールもいつも俺から」
溜め息を交えて話す、榊原。
「こんなんで付き合ってる意味あんのかって思って。けど、それを言うのが嫌だったから嘘の理由つけたんだ」
なんか…
「ごめん」
やっぱり、榊原にすごく失礼なことしてた。



