「もう、次はないからねー?」


なんて冗談交じりに言ったのと、ほぼ同時に。


———タンッ、タンッ…、タタンッ


階段を上る音が聞こえた。


誰か、来たんだ…


悠真と二人っきりの時間はおしまいかぁ~…。


…ちょっぴり残念。


そう思った時だった。


「さんきゅ」

「…っ」


な、なにするのっ…!?


口から飛び出そうだったあたしの言葉は、勢いよく開け放たれたドアの音にかき消された。


「おっはよ~う!…って、悠真!?遅刻常習犯のお前がどうした!?」

「ふっ、朝からうるせぇよ」


何事もなかったかのように、教室に入ってきた男子に笑いかける悠真。


目の前で繰り広げられている会話をどこか上の空で聞きながらも、頭はぼーっとしていて完全に放心状態だ。


だって……

さっきのはそっちが悪いよ悠真…