星屑の小さな約束 【停滞中】

いつもの席に座ると、まもなくお母さんがお皿とスプーンを持ってきてくれた。


お皿の上には、あたしが愛してやまない安定のオムライス。


意識して口元に力を入れても、オムライスを前にするとだらしなくよだれが垂れてくる。


「うわぁ…!いつもどおりおいしそう!」

「うふふ、召し上がれ」

「いただきまぁす」


デミグラスソースがかかったそれを、スプーンたっぷりにすくって口に運ぶ。


お母さんのオムライスだもん。まずいわけがないけれど…


「お、おいひぃ~っ!」


思わずこう言わずにはいられない。


口の中でふわっとろっととろけ出す卵。ケチャップが程よく効いているライス。そして、口いっぱいに広がるデミグラスソース。


ぱくっぱくっと口にスプーンを運ぶ手が止まらない。


夢中になっているそのとき、ふと視線を感じた。


スプーンを一時停止させてそっと顔を上げると、そこにはなんでか幸せそうなお母さん。


お母さんはあたしが食べているのを見ているだけなのに?なんで幸せそうなんだろう?


首をかしげるあたしに、お母さんが笑みを浮かべてこう言った。


「ありがとう、柚」