「ねぇねぇ、お姉ちゃ……」


「ごめん、先に家入ってるねっ」


鈴の言葉をこんな風にさえぎったのは、多分初めてだと思う。


最低なお姉ちゃんでごめん。


でもあたし、今は余裕ないんだ。


悠真と鈴の間を通るとき、最後に目に入ったりんご飴。


同じものを持っているはずなのに、気持ちは全然同じじゃなくて。


その事実があたしの胸をきつく、苦しく、締め付けた。




頑張ろうと決めた夏。


最高の思い出を作ろうと思っていた夏。


それを掴むことはできないまま……


残ったのは自分への後悔と、鈴への劣等感だけだった……。