江戸の虎が溺愛する者




「この文を見てください…」







俺は雪に二階の寝室へと案内され、ある一通の手紙を手渡された








これは…








広げて内容を見てみると、墨で書かれた文字がずら〜〜〜〜…っと








この時代の文字は読めないが、明らかに恋文だということはよくわかった







「これは…ラブレターって、ああ!!!」






封筒が手から滑り、床へバサァッと大胆に落としてしまい便箋も散らばってしまった







「わりぃ!………て、げ!?何だこの量の便箋は!?」






「…………。」







雪は黙ったまま、下を俯き佇んでいた







俺は慌てて全部拾い集め、雪を見上げた







ラブレターにしては量が多すぎる…






「実は…一昨日ほどから夜に店をしまう時、玄関前に私宛の文が届くようになったんです」






雪の口がゆっくりと動き出す






「一昨日からって…手紙の量がもう一年前から感半端ないぞ」







枚数はざっと50枚…かなりストーカー気質なやつなんだろうな







「『ずっと見守っているよ』とか『今日も料理作ってる姿を見て幸せな気持ちになったよ』…私のことをまるで監視してるかのような内容で、きっと男のお客様だと思うのですが」







すると雪が涙ぐんだ表情になり、顔を真っ赤にした






「私、見られてると思うと怖くて……。この前だって、人売りの方に目を付けられて怖い目に遭いましたし…」






大きな瞳から涙が溢れ、頬をゆっくりつたっていく





あーっと、俺は頭を掻く