江戸の虎が溺愛する者






俺は箸をおき、雪を見た






「…何?」






声をかけると雪はビクッと揺れ顔が徐々に赤くする






そしてよそよそしく動いたと思えば、口を開く







「あの…これ、おまけです。内緒、ですよ?」






優しく微笑み、あんみつが乗せられた皿をテーブルの上に置かれた







デザート、だよな?






すると女将さんが俺に向かって叫ぶようにデカイ声で言う







「菓子類は雪が作ってんのさあ!食べてくれよ」






「ちょっ、花恵(はなえ)さん!?」








そうなのか…







俺は料理を食べ尽くし、あんみつに箸を伸ばし口の中に運んだ






すると、一瞬にして口の中に甘すぎない甘さが広がる





ん、美味しい





料理上手いじゃんか






俺は残ったあんみつを食べ、不安そうに見つめる雪を見て微笑む







「ごちそうさま。美味かった」







すると雪は安心したのか、ほっとした表情になり先程よりも良い笑顔になった








「良かったです…!」




照れて笑う姿が天使のように見え、心臓を鷲掴みされた気分になった





か、可愛い…





ハルにしか興味ない俺がそう思うぐらい、本当に可愛い





そりゃ男が夢中になるのもわかるわ…