てか、俺の裾が毛だらけになっとる…
気持ちよさそうにすり寄っていた子虎を持ち上げる
「ガウ?」
首を傾げた子虎はそこらへんの女子より可愛い。そう思った
「わ、あっ危ねえって暴れんな」
手足バタバタし始めるとか人間の赤ん坊かよ!
いや、まあこいつも赤ん坊だけれども…
落ち着かせるように胸板のところへ引き寄せ抱いた
「ガウ〜」
…こいつ、何しても気持ちよさそうにするよな
「よし、虎吉帰るぞ」
「え、こいつどうするんですか?」
馬を繋いでおいた木の所へスタスタと歩き始める2人
ここに置いて行ったら可哀想だしな…
土方さんは後ろに突っ立っている俺に振り向いて言う
「貰い手がいないんだからお前が面倒みろ。赤ん坊だからきっと、世話しないとすぐ死ぬぞ」
すぐ、死ぬ…
腕の中でじゃれている子虎を見る
こんなご時世に生まれたんだ。大変だろうけど、何も知らないまま死なせたくない

