江戸の虎が溺愛する者




真っ暗な船内に灯をつけ、見回した




「んーなさそうですねい、アヘン」




そう言う沖田さんは、森の中を探検している少年のようだ





「虎吉、そっちはどうだ?」





倉庫らしき所を漁ってみたが、アヘンが入った木箱らしきものは見かけなかった






俺達で燃やしたので全部か






これで少しはこの国も安全になるといいな…






「ありませーん」





俺はその場を去ろうとしたその瞬間






ゴトンッ





「………。」「………。」「………。」






なーんか、後ろから物音が聞こえたよーな…






「すんません、僕のお腹の音で…「「いやいや、そんな腹の音聞いたことないがな」」






逃げたいだけですよね沖田さん!!!






「ゴトンッて…何か勝手に物が落ちただけだ。帰る…」







ゴトンッガタガタガタガタ!!!!







土方さんが言い終わる前に、物音が大きく聞こえた






え、いや物が落ちるにはちょっと派手すぎだろ…






俺達3人は物音がした扉の向こう目線を向けた





あれ?あんな扉あったっけ?






この時に出現したとか…ないよな?な?そうだと言ってくれ!!!






壁と同化していて気付かなかった!そういうことにしとこう。うん





俺はお化けとか…幽霊とか信じないからな!





沖田さんは土方さんの肩に手をポンッと置いた






「…土方さん、ここは鬼の副長と呼ばれるあんたの出番ですよ」