江戸の虎が溺愛する者





「何のために?そんなの決まってる」





怯えてたって仕方ないよなー





そんな生半端な気持ちであの日、近藤さんの手を握った覚えはないし







「俺さー、お前みたいに先を見据えて考えることなんてできないのよ」






未来に"確か"なんてないもんな…そうですよね?沖田さん





そう教えてくれたの、俺はちゃんと覚えていますよ





「開国だろうが倒幕だろうが一揆だろうが、俺は守りたいもんを守るだけだ」





新撰組と共に俺は前へ進み、信じ貫くよ




それは"確か"なものだからな




「もし、その信条を…新撰組の邪魔をしようとするなら俺は容赦しない」





お互いに顔を見合わせ、改めて敵という意識を持った





「お前は何も知らない!だからそんなことをペラペラと…!」




坂本は声を荒げた




「残念ながら人生ってのは知らないことの方が多いのよ。情報が増えすぎて複雑な思考に耐えられず、歩んでいる道から外れてしまわないように作られているんだよ」




自分の頭まで右手を近付け、人差し指で脳内を示すかのように突き付けた