江戸の虎が溺愛する者





俺は息を呑む




「確かに、侍の国ではなくなってしまうかもしれない。だがそのままでいいのか?弱いままでいいのか?俺は嫌だ、自分達の国が侵されるのを…だからこのままじゃいけない。強くなるために、変わらないといけない」





坂本は一息置いてから続けた






「…俺は、この国を愛している」






愛しているからこそ、国を強くし守りたい






そのためには完全なる開国が必須、だと






攘夷志士みな国のために…






保守派、俺達幕府側は侍の国を守るために反開国を捧げている






結局は愛国心






攘夷派も保守派も、愛する日本のために血を流している






なんだよ、これ…






お互い結論は一緒なのに方法が違うだけで敵対してしまうのか






「この国にもアヘンという麻薬が外国と闇取引しているそうな。今は金持ちの連中しか手を出していないが、これを貧富の差関係なく国中の人が手につけてみろ。崩壊が目の先に見えるぞ…既に、この国は外国からの侵害を受けている」





聞いているだけで心臓が痛くなってくる






得体の知れない恐怖が俺を襲いかかってきた







するとやっと、俺は口を開く






「保守派も攘夷派も…ここが好きだから守りたいだけなのに」






空を見上げたら、俺の気持ちと反比例なとても青い空が広がっていた






「結論は一緒なのに、悲しいな」





「江戸の虎…お前は何のために刀を振るう?」