江戸の虎が溺愛する者





すっかり日が暮れちまったな





見廻りあと、俺は1人で屯所に戻っている





沖田さんは見廻りしている最中お腹を壊したらしく(朝飯食べたばかりなのに無理して団子を食べたからな〜)、先に屯所へと戻った





「__________♪」




ん?三味線…?





川と共に流れるようなその音はどこか切なげに聞こえる





見上げたら川の近くの長屋の二階、開いた障子から1人の男が三味線を弾いていた





夜だからよく見えるないが、小顔の割には図体がしっかりとしていて斜め線模様が目立つ深緑の着物が白い肌を際立てている





…なんか、人を寄せ付けない雰囲気を出しているなあの人





絶対友達いないぞ、うん





そう思っていると、男はピタリと弾くのを止めて俺を見た





「…何ボーッと突っ立ってんだ」





「あっ…すみません。三味線お上手ですね」






…って、何言ってんだ俺…本心は本心だけど知らない奴に言われても嬉しくねーだろこれ!






「それはどうも。さっさとどこかに行きな」




「は…はぁ…」






でも、何となく続き聴きたいな…






男はどこか警戒するように俺を見据えた





冷たい風が男の癖のある短髪を揺らす




俺はフゥッと息を継いだ





「続き、弾かないんですか?」






「わざわざ続きを聴きたくて立ち止まったのか?」






あー、この人きっと三味線弾くのが上手いの自覚ないな






「そりゃあ…どっか行け、て言われても聴きたい気持ちの方が大きいんで何言っても無駄ですよ」






すると、突然男は笑いだし先程の警戒心が薄くなったような気がした





「新撰組にも面白ぇやつがいるんだな…。名は何ていう?」





げっ…この人の悪戯っ子のような微笑み、沖田さんと同じじゃねーか





本能的危機を感じる…