江戸の虎が溺愛する者





団子屋を後にし、行く宛先無く歩いた






「…たく、お前らは一体何やってんだ」




「ひょうでひゅよとらきてぃ、べとゅにほくをかぱわなくてほおかったおに…(そうですよ虎吉、別に僕を庇わなくても良かったのに…)」





なんか俺のせいになっとるーーーーーーっ!






「う…、上司が銃を突きつけられているのに黙っているやつがどこにいますか。てか、口の周りについてますよ」




団子についていた醤油の甘たれらしきものが沖田さんの口の周りにべっとりとくっついていた





全く、子どもだなー






俺は足を止めて片方の手で沖田さんの顔を固定し、袖口で甘たれを拭い取った






近くで見ると、改めてイケメンだって思い知らされるんだよな〜






こりゃあ江戸中の女がキャーキャー言うわけだ






ゴクンッと団子を飲み込んだ音が聞こえた







「と、虎吉ぃ…」






沖田さんは目線を横へ逸らし、頬を赤く染めた






「頬を赤くするのやめて貰えます!?気持ち悪い!!!」





すると土方さんは俺達の方に振り返り、





「そこでイチャイチャするなー」





「してませんから!てかそんな冷たい目で見ないでくださいよ!」





痛い!目が痛いよ!







「それより、ほら。見廻りしてこい」






土方さんはどこから出したのか、新撰組の鉢巻とだんだら羽織を渡してきた







「あ、もうそんな時間なんですか。早いですねえ」







言っていることが爺さんみたいだなと、心の中でツッコミを入れといた








「他の隊士には先に見廻りさせているから、さっさと行ってこい」






へーい、とやる気のない返事をした沖田さんはだんだら羽織を着てさっさと先へ行ってしまった






「え、はやっ!?」







俺も慌てて袖を通し、あとを追いかけた







土方さんはそんな俺達を後ろから眺め、やがて屯所へと戻って行った___________