江戸の虎が溺愛する者



俺は指を、髪の毛から露出した首筋へとなぞった



「んっんん…ちょ、なに」





体をビクンッと跳ねらせ、甘い声に体が痺れる





ダメだ俺、ハルのことになると余裕がなくなる





「あ、ねえ裕斗?土方さんって新撰組の人なんでしょ?どんな人なの?」





ドクンっと物凄く嫌な音が聞こえた




「…会ったことある?」




静かに、問いた





「今日、お店の方に来たのよ。新撰組だって店主から聞いたから知り合いなのかな、て…」






頬を赤らめたハルはどこか、遠くを見つめていた




…生まれて初めて、ハルの口から男の名前を聞いた





それに夕方見たあの人は、やはり土方さんだったか





とうとう俺は我慢できなくなり、軽く触れるだけのキスを落とした




「ゆ、裕斗?」




「俺の目の前で男の名前を出したのが悪い」




…かっこ悪い、嫉妬だなんて




俺はハルの唇を噛んだ



「!?」




僅かに開いた口にすかさず舌をいれ、掻き乱した




「んっんんっ…あ、…ん…」





音を立てながら角度を変え、続けた





「…っゆう…んっ…と…」





俺は物心がついた時からハルが大好きだ。愛してる




だけど…





「はぁ…はぁ…」




唇を離し、俺の長い前髪の切れ間から見えるハルの顔は赤く、涙目で肩で息をしていた