夕方…
騒動があった場所をあとにし、俺達は屯所に帰っている途中だ
「やれやれ、虎吉も土方さん並みにしぶといですね」
ニコリッと微笑む沖田さんはどこか腹黒さを感じた
「…一気に寿命縮みました」
何とか生き残った….
他の一番隊隊士はそんな沖田さんにビビってしまったのか、先に帰ってしまった
「禿げるんですか?」
こいつ…っ
禿げることしか知らないのか禿げることしか!
「禿げる前に死にます」
一番隊って大変なのね…
ふと、ハルが居候で働いている団子屋が見えてきた
ハル…
会いたい、と思う
だけど現代の時とは何かが違う
中途半端に会ってしまったら、心配かけてしまいそうで
「鬼にならないで」
そう言われたあの夜を思い出した
そして俺は今日この両手を汚した
上手く急所を避けて斬っていたつもりだったが、何人か殺してしまった俺
人を殺した実感なんて、俺には無かった
「…どうしたんですか?急に黙って」
急に黙った俺を不思議に感じたのか、沖田さんは俺の顔を覗いてきた
「あ、いやあ…初めての仕事だったので」
俺は笑顔で誤魔化した
人を殺した手で、ハルに触れるなんてできない…!
団子屋の目の前を通り過ぎ、橋を渡っている途中…
「ん?」
俺は足を止め、振り返った
スタスタと先に歩いていた沖田さんは、そんな俺に気付き足を止めた
「虎吉ぃ、置いて行きますよ」
「あっすみません!」
俺は慌てて沖田さんの後を追った
…団子屋の店の中に土方さんらしき人がいたんだけど、気のせいか
そして土方さんらしき人を相手していたのが、ピンク色の着物をきた女の子
俺は何も見ていない、そういうことにしとこう

