「雪…!大丈夫かい?怪我はないかい?」




女将が雪に近づき、抱きついた





「大丈夫ですよ。ごめんなさい、心配かけてしまって…」





これで一安心だな





俺は沖田さん達の方を見るとギョッとした





「虎吉ぃ女の子を口説くのに時間かかるなんて、甘いですよ」





沖田さんの背後には浪士達が斬り捨てられていた




「口説いてないですよ…それより返り血を拭き取ってください」



コワイ…




「あの…」




振り向くと、雪が話しかけてきた




「名前、教えて頂けませんか?」




な、名前…?




「裕…じゃなくて、虎吉だ」




危ねえ、やっぱまだ自分のことを虎吉って呼び慣れていねーや




「虎吉様…」





俺の名前(仮)を呼ぶ雪は改めて頬を赤く染めた姿はどこか妖艶に見えた




「虎吉…?」



ビクッ




「お、沖田さん…?」





何だ、爽やか顏で一体どこからこんな殺気を出しているんだ!?






「…女の敵ですねあんたは。成敗っ」





刀を構え、とてつもない速さで斬りかかってきた




「え、ちょ!?ギャアアアァァァア!!!」





江戸の上に大空が広がる中、俺はいつも沖田さんに命を狙われている土方さんのことを思い出した…