ボンヤリと俺と浪士のやり取りを見ていた雪に駆け寄り、手を差し伸べた





「大丈夫か?」





「…っだ、大丈夫です!助かりました」





一回り小さく白い手が、俺の手を掴んだので立ち上がれるよう引いた





「あ…っ」




「え?ちょ、危なっ!」





立ち上がったと思いきや、雪はふらりと倒れそうになり慌てて自分の方へ引き寄せ、安定するよう腰に腕を回した





すると雪は顔を真っ赤に染め、俺を見上げた





「ご、ごめんなさい!足がおぼつかなくて…」





「いや、無理もない…ん?」





雪の右頬に泥がついていた






突き飛ばされた時に顔から転んだのか…







俺は羽織の袖で雪の右頬をゴシゴシと拭いた






「女が顔に泥をつけてるんじゃねーよ」





中々上手く拭き取れず、苦戦した




「えっよ、袖が汚れてしまいますよ!?」




「洗えば何とかなる」





そう言い、何とか綺麗に拭き取れた




よくよく見ると、可愛い顔立ちだな…そりゃ変なやつに絡まれるわ




その白い肌は雪のように白く、雪という名前はその子にピッタリだった




「あ、あの…ありがとうございます」




その大きな瞳にどこか熱い眼差しを感じ、俺は思わずドキッとした



ふ、不覚…



俺は腰に回していた腕を離した