「いや、離して…!」




道の真ん中で、1人の娘と数人の浪人がたむろっていた







食事処の店から1人の女将が野次馬の町人の間から出てきて、怒鳴った





「あんたらその子をどこに連れて行く気だい!?さっさと離しな!」





すると、娘の片手を掴んでいた浪士は





「うるせーな!気に入ったもんは手に入れたいんでね」




浪士は娘の顎をクイっと上げて、涙目で怯えている顔をジッと値踏みするように見た




「…こりゃあ良い玉だな…よしお前ら、帰るぞ」




囲んでいた浪士がズラズラと帰途につこうとしたその瞬間





「待てい!」




やっと出番が来たぞ…




「あんたら御用改めだ!今すぐその子を離せ!」




沖田さんの声が道中に轟く





さっきまでスイッチオフだったのに





スイッチオンになるタイミングわかんねーなぁ…




一番隊の隊士達が集まり、浪士達は娘とその手を掴んでいる浪士を守るかのように前に出て対峙した





「新撰組だ!」「一番隊よ!沖田様は今日も素敵だわぁ…」




あちこちから視線を感じる…





やっと45ページ目で新撰組としての仕事が!長かったな…




「あら?沖田様の隣にいらっしゃるのは誰かしら?」「初めて見る顔ですね…新入りさん?」
「どこかで見た覚えがありますわ…」





痛い。なんだろ、チクチクする





「チッ新撰組か…」





「大人しく捕まってくれればありがたいんですけどねえ?」




沖田さんは好戦的に微笑んだ





この人にだけは喧嘩売らない。そう誓った瞬間だった




「誰が大人しく捕まるか…!お前らやっちまえ!」



浪士達が一斉に刀を抜き、襲いかかってきた





「あー面倒くさいですね…あんたら覚悟しろよ!」




沖田さんが刀を抜いたのと同時に俺達も刀を抜き、応戦した





俺は外野で眺めている町人達に叫んだ





「そこは危ないから安全な所まで逃げろ!」




「あ、はっはい…!」





すると数本の刀が俺に降りかかってきた




「どこを余所見してるんだこの餓鬼!」





俺は構え、衝撃を受け取った




沖田さんと比べたら…




「生温い」




俺は弾き返し、浪士達を吹き飛ばした





感覚が、ある







刀をぎゅっと握りしめ、乱戦へと飛び込んで行き剣をさばいた






まるで獲物を狩ろうとする虎みたいに、素早く力強く、確実に仕留める







「ば、ばけもの…!」







どーぞ、お好きなようにお呼びくださいまし







「どけよお前らあ!!!」






俺は手を止めず、目の前にいる浪士達を疾風の如く斬った