あれこれ昼の時間になったであろうか




市中あちこちを一番隊が分かれて見廻っている中、俺は沖田さんと2人で歩いていた




「賑やかですね、ここは」





商人や町人の大勢が行き来している大通りを俺は何度かつまずきそうになった





「虎吉がいた未来の江戸はどんな感じなんですかい?」




東京、か…



「そうですね…車、という車輪が4つもついている便利な乗り物があって、人はそれに乗って街に出掛けていましたよ」





江戸時代で便利な乗り物って何だ?人力車?あれ、人力車って明治からだっけ?あれ?






「ほお〜」





沖田さんは興味あり気に聞いてくれた






初めて会った時もそうだったが、新しい物や知らない物に興味ありそうだな





俺は現代の東京について、何分か語った





沖田さんは飽きる素振りも見せずに真剣に聞いてくれた





やはり、知らない物などに興味があるらしく説明しているうちに、「じてんしゃ(自転車)って何ですか?」とか「あいす…?可笑しな名前の食べ物ですねぇ」など、質問や相槌を打ってくれて俺は嬉しくなった




まるで小さな子供にあれこれ説明している気分だった




「そういや虎吉ぃ、例の桜の木について何かわかりましたか?」




あ…。




何も調べてない。とか言えない