江戸の虎が溺愛する者



すると、何かが解けたかのように体を支配していた不安がふと何処かへ消えていった




瞼を開ければ数千個の星




信じてくれる沖田さん




居場所が、ここにある





なんだ、"確かなもの"がここにあったじゃないか



「沖田さん、ありがとうございます」





礼を言うと立ち上がり背を伸ばした





「そろそろ晩御飯ですよ。食堂に向かいましょ」





「もうそんな時刻ですか。虎吉ぃおんぶしてけ」




「何を言ってるんですかっ俺沖田さんに叩かれた後頭部未だに痛いんですよ!?」




後頭部だけ10年早く禿げそうだ




「大丈夫、禿げたとしても僕があんたの髪の毛全部むしりとってあげます」




「人の心を見透かすのやめてください!全くもー仕方がないなー」




俺は上司・沖田を背負って食堂へと長い廊下を歩き始めた



「あーまだ禿げてないっぽいですね。どうしやす?抜いてさしあげますか??」



「いっだーいだだだだだだ!抜くな抜くな馬鹿いたたたたあ引っ張らないでくだざい本当に神経ブチ切れるー!」




俺の虚しい嘆き声は、闇の屯所に響いた