江戸の虎が溺愛する者



「…戊辰戦争は保守派も攘夷派のどちらも大きな犠牲を出したそうな」


沖田さんは夜空に浮かぶいくつもの星を見上げた



綺麗だな、と思った。沖田さんじゃなくて星がね?




「僕ら新撰組は攘夷派を狩る鬼。幕府の犬だのなんだの言われても仕方ないですさ」




沖田さんは続けた



「何を信じるか何について行くか、それは時代関係なく己で決めれる唯一の自由選択。僕らはその選択を近藤勇に託し、ここに来た」



「ここに居場所あるのも、仲間がいるのも全部あの人のおかげさ。ここにいる連中はみんなそう思っている」



近藤さん…



大切にされているんだな



沖田さんの表情がいつもの意地悪な笑みではなく、フッと優しく笑った



「僕らの志しはあの人共にある。誰にも捧げたりしない」



俺は思わずドキンッとしてしまった。イケメンに




これがギャップ萌えってやつか…っ



「それに、未来とか先の事なんかに"確か"なんて保障はないでさ。己が信じたいものを信じればいい」




信じたい、もの…



俺は瞼を閉じた


そこには近藤さんや新撰組のみんな、土方さんそして沖田さんの背中


未来から来たというアホをほざく(事実だが)馬鹿を信じてくれた新撰組を、俺は…






信じ返したい、守りたい