江戸の虎が溺愛する者



あれから数日間、俺は屯所に引きこもりひたすら素振りをしていた



幸い筋肉痛にはならなかったが、どこかに余裕を置いてきてしまったのを実感した




強くならなければ。ただひたすらそう思った




朝も昼も夜も竹刀から、近藤さんから返してもらった鞘付きの刀に変え、素振りをした



新撰組内からも熱心だと評されるぐらい夢中になった




そんな地道な努力を積んだおかげか、練習試合や手合わせでも勝ち進めるようになり沖田さん以外には勝てるぐらいの実力を備えることができた




流派とか全然わからないけど、そういうのも最近気に留めるようになり精神的にも成長できたのかもしれない



いや、俺は逆に強くなることに焦り過ぎていた




結局大事なところは成長できていないのだ




俺は一体、何をしているんだ…





「さすが虎吉、見込んだ通りだわ」





「ドュルルルルルッ」




道場でボーッとしていたら、後ろから声かけてきた男…沖田さんがここにいた




そんな俺の驚きように、驚き呆れたような顔をされた



そ、そんな顔しなくても…