江戸の虎が溺愛する者




侍の国を壊すつもりか…



いや、考えすぎだ



おれは何とも言えない不安に身体中が襲われた




「…裕斗?」




急に黙った俺を不思議に思ったのか、後ろから顔を出して覗いてきた





たく、可愛いとこあるよな





俺は守りたいものを守る…それだけだ





時代の嵐に巻き込まれない。絶対に




くるりと振り返り、ハルのおでこにキスを落とした



そして下にさがり、唇に優しく重ねた



「んっ!?」



そして首、鎖骨…と口付けをした




口付けをするたびに反応する体はどこかいやらしく



何で、俺のものになってくれないんだろ…




「んんっやぁ、…だ、めえ….」




「だめ?のわりには抵抗しないんだな?」




「だっ、だって…」



するの乾ききっていた目の縁にまた涙がうっすらと溜まり始めていた



そうやって困った顔するたびに泣きそうになるよな



やっぱり慣れていないか



俺ははだけた襟を正してやり、また唇と唇を重ねた




「んじゃ、現代に戻る方法探しとくわ。おやすみ」




「え、あっちょ…!?」




俺はハルの制止を聞かず、戸から飛び出し屋根へと飛び移った




カタカタッと足音が響く中、これから先のことについて俺を支配していた不安がまた、響くのを感じた